Tanning
なめし(鞣し)
なめし(鞣し)とは?
私たちが日々製作している革製品。その素材である「革」は、元々動物の「皮」であったものを「なめし(鞣し)」という加工技術で変化させたものです。
鞣すことによって、腐敗の原因となるたんぱく質や脂肪を取り除いたり、革の原料である原皮の主成分であるコラーゲンに耐熱性や柔軟性などをもたせます。これによって「皮」は丈夫で長く使える「革」へと変わります。
なめし(鞣し)の工程
なめし加工には、数十に及ぶ工程があります。
多少順番が異なったり、同じ作業を何度か繰り返したりすることもありますが、大まかな工程は以下のような流れになります。
- 1. 毛を取り除く
- 2. 脂肪やたんぱく質を分解・除去
- 3. なめす
- 4. 漉(す)いて厚みを均一にする
- 5. 染色
- 6. 乾燥
- 7. 表面を滑らかにする
- 8. 仕上げ
なめし(鞣し)の種類
なめしの方法にはさまざまな種類があります。
その中でも現在主流となっている〈タンニンなめし〉と〈クロムなめし〉についてご紹介いたします。
タンニンなめし
「タンニン」とは植物にある水溶性の化合物であり、このタンニンを使用したなめし加工は古代エジプト時代より行われている、なめし加工では最も古い製法です。日本ではミモザの木がなめし剤として使用されています。
この加工方法の特徴は、硬くしっかりとして重く、耐久性のある革になる点です。
「可塑性(かそせい)」という形を保とうとする性質に優れ、革に形を与える加工や、エンボス柄、革工芸品への加工に向いており、主にベルト、靴、馬具、鞄などに使用されます。また自然素材のため革本来の雰囲気を感じることができ、革の個性とエイジングも楽しめます。
とても人気のある革ですが、非常に手間と時間がかかり、鞣しに数か月を要することが多くあります。
クロムなめし
クロムなめしは、タンニンなめしと比べて歴史が浅く比較的新しい加工技術であり、クロム鞣し剤と呼ばれるクロム化合物をドラムに投入し皮に浸透させます。
この方法で加工された革は弾力性、柔軟性、耐水性、耐熱性に優れており、衣服、財布、バッグ、ソファなどさまざまな場所で使用されます。また、浸透に要する時間は一日程度で、早く大量に革を作ることができるうえに、着色や加工もしやすいため多くの革製品に使用されています。
コンビネーションなめし
「タンニンなめし」と「クロムなめし」を掛け合わせた「コンビネーションなめし」という加工方法もあります。各加工の欠点を補い、様々な特性を付与させることができる、ハイブリットな鞣し加工であり、タンニンなめしほどではありませんが、少しの経年変化が楽しめると同時に、クロムなめしの柔らかさや発色性を持たせることもできます。
また、クロムとタンニンの配合比率によって仕上がりが異なるため、加工をする職人の腕の見せ所でもあります。
Care and Maintenance
お手入れ・メンテナンス
使えば使うほど味がでて、愛着が湧いてくる革製品。毎日手で触れることも革のケアにつながりますが、美しく長持ちさせたり経年変化を楽しむためには定期的なお手入れも大切です。お気に入りの革製品を永く愛用していくために知っておくと役に立つお手入れ・メンテナンス方法をご紹介します。
乾拭き
基本中の基本は乾拭きです。天然素材の柔らかい布で軽く拭くのが理想的で、毎日続けることで革の光沢を保つことができます。注意点は、あくまで優しく拭くこと。力を入れてゴシゴシとこすってしまうと余計なキズがついてしまうので気を付けましょう。
Point
革の種類にもよりますが、ツヤを出したい方は布をほんの少しだけ(湿っているか湿ってないかくらい)湿らせて拭いてもよいでしょう。布に水を含ませすぎてしまった場合は、革が水分を吸収して色が濃くなっている間は磨かずに、水分が乾いて色が落ち着いてから磨いてください。
オイルケア
毎日の乾拭きに加えて、ときどきオイルやクリームで栄養を与えてあげましょう。革が乾燥し表面にひび割れが起こると元に戻せないため、定期的な保湿は欠かせません。
ポイントとしては、まずはじめに汚れを拭き上げてからオイルやクリームを塗ること。
革の表面のほこりや手の汚れをブラシ・布で優しく拭き落としてあげることで、汚れやほこりが革に沈着してしまうことを防ぎます。また、オイルやクリームは塗りすぎてしまうと染みなどができて逆効果になってしまうことも。少量ずつ取っていくように心がけましょう。
Point
革製品ごとにお手入れのタイミングや頻度を変えることも重要です。例えば、手に持つ機会が多いキーケース等の小物類や財布は使用しているだけで自然と保湿されています。対して、鞄などは持ち手や開け口以外の部分は手に触れる機会が少ないため、ハンドルだけ黒ずんだり、手でよく触れる箇所ばかり色が変化したりします。そういったアイテムごとの特徴を理解してあげることで革製品を美しく長持ちさせながら経年変化を楽しむこともできます。
小物類⇒乾燥が気になったタイミングでお手入れをしてあげましょう。小物を使いはじめる前に防水スプレー等で手を加えてあげると汚れにくくなります。
鞄など大きめの製品⇒手でよく触れる箇所ばかり色が変わったりしないように、2ヶ月に1回保湿ケアしてあげるとよいでしょう。また、ファスナーや引き手の金具にもメンテナンスオイルを塗り込むと、サビ防止になります。
